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蛇口をひねっても水が出ないあの日の朝

それは、いつも通りの慌ただしい朝のことでした。顔を洗おうと洗面台の蛇口をひねった瞬間、私は「あれ?」と首を傾げました。水が出ないのです。チョロチョロとすら出てこない。完全に沈黙しています。寝ぼけているのかと思い、何度か蛇口をひねり直しましたが、結果は同じ。隣のキッチンに行き、そちらの蛇口もひねってみましたが、やはり水は一滴も出ません。「え、断水?でも何の連絡もなかったはず…」軽いパニックに陥りながら、私は窓から外の様子を伺いました。お隣さんは普通に庭に水を撒いています。どうやら、断水ではないようです。となると、原因は我が家の中にあるはず。真っ先に疑ったのは、水道の元栓です。数日前に庭師さんが入ったので、もしかしたら作業中に誤って閉めてしまったのかもしれない。急いで庭に出て、メーターボックスの蓋を開けました。しかし、元栓のバルブはちゃんと開いています。「じゃあ、一体何が原因なの?」途方に暮れかけたその時、ふと思い出したのが、昨夜のニュースで「今シーズン一番の冷え込み」と言っていたことです。もしかして、凍結?我が家は古い一戸建てで、北側の壁に沿って水道管が一部露出しています。慌ててその場所を見に行くと、案の定、水道管に霜がびっしりと付いていました。「これだ!」原因が分かったものの、どうすればいいのか分かりません。とりあえず、ネットで対処法を検索。「凍結した水道管にタオルを巻き、ぬるま湯をゆっくりかける」という方法を見つけ、実践してみることにしました。やかんでお湯を沸かし(幸いガスは使えました)、人肌より少し温いくらいのぬるま湯にして、タオルを巻いた水道管にゆっくりとかけていきます。これを何度か繰り返すこと約30分。家の中に戻り、祈るような気持ちで蛇口をひねると…「ゴボッ」という音とともに、勢いよく水が流れ出しました!「やったー!」思わず声を上げてしまいました。本当にホッとしました。水道が使えないということが、これほど不便で不安なことだとは思いませんでした。この一件以来、冬場の冷え込みが厳しい日には、寝る前に水道管にタオルを巻いておくなど、凍結対策を心がけるようになりました。あの日の朝のヒヤリとした経験は、水のありがたみを再認識させてくれる、忘れられない出来事となりました。

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