洗濯機から聞こえる「ガリガリ」「ゴリゴリ」といった、この種の音は、洗濯機の内部で何らかの物理的な接触や深刻な部品の損傷が起きている可能性を示唆しており、早急な対応が必要です。ガリガリ音の原因としてまず考えられるのは、「異物の混入」です。洗濯槽と、その外側にある水槽(外槽)の間や、洗濯槽の底で回転するパルセーターの下などに、ポケットから落ちた小銭、鍵、ヘアピン、あるいは衣類から取れたボタンやワイヤーなどが入り込んでしまうことがあります。これらが洗濯槽の回転に伴って内部部品と接触し、ガリガリという音を立てるのです。特に、金属製の異物が高速で回転する部品と接触した場合、大きな音とともに部品を傷つけてしまう可能性があります。次に考えられるのが、「駆動部品の深刻な損傷」です。洗濯槽の回転軸を支えるベアリング(軸受け)が完全に破損してしまったり、モーター内部のギアが欠けてしまったりした場合、部品同士が異常な形で接触し、ガリガリ、ゴリゴリといった異音が発生することがあります。この状態を放置すると、他の部品にもダメージが及び、最終的には洗濯機が完全に動かなくなってしまう可能性が高いです。また、洗濯槽自体や、洗濯槽を支える部品(サスペンションや吊り棒など)が破損・変形し、回転時に他の部品と接触している場合も、ガリガリ音の原因となりえます。例えば、洗濯槽のバランスが崩れて傾き、外槽と接触してしまうようなケースです。以前、私が修理に伺ったお客様のお宅でも、脱水時に激しいガリガリ音と共に洗濯機が大きく振動するという症状がありました。分解して内部を確認したところ、ドラム式洗濯機のドラムを支える軸(スパイダーアーム)の一部が腐食によって破断しており、ドラムが傾いて外槽と接触していたことが原因でした。お客様はしばらく異音を我慢して使っていたそうですが、放置したことで被害が拡大し、結果的に高額な修理費用がかかってしまいました。ガリガリ、ゴリゴリという異音は、洗濯機からの重大な警告サインです。異物が原因であれば、それを取り除くことで解決する場合もありますが、多くの場合、部品の損傷が疑われます。このような音が聞こえたら、直ちに運転を停止し、無理に使い続けずに専門の修理業者に点検を依頼することを強くお勧めします。
洗濯機のガリガリ音その正体と修理体験