キッチンに立つと、どこからともなく漂ってくる嫌な臭い。最初は気のせいかと思っていましたが、日に日にその臭いは強くなり、シンクの水も心なしか流れが悪くなってきたような気がしました。「まさか…」という嫌な予感が頭をよぎります。意を決して、排水口のゴミ受けを外してみました。その瞬間、私は言葉を失いました。ゴミ受けの下、排水トラップの周りには、黒くて粘り気のある、まさに「ドロドロ」とした塊がびっしりと付着していたのです。そして、強烈な腐敗臭が鼻をつきました。「これは、ひどい…」思わず顔をしかめ、後ずさりしてしまいました。まずは、この惨状をなんとかしなければ。インターネットで調べ、手始めに重曹とお酢を試してみました。シュワシュワと泡立つ様子に一縷の望みを託しましたが、結果は惨敗。表面の軽い汚れが取れた程度で、核心部分のドロドロには全く歯が立ちません。次に投入したのは、ドラッグストアで買ってきた強力そうな液体パイプクリーナーです。「これでどうだ!」とばかりに、説明書に書かれた量よりも少し多めに流し込み、期待を込めて数時間放置しました。しかし、結果はまたしても期待外れ。多少は流れが良くなった気もしましたが、根本的な解決には至らず、臭いも依然として残っています。こうなったら物理的に除去するしかない。ゴム手袋を二重にはめ、マスクで鼻と口を覆い、古歯ブラシを手に、私は排水トラップのドロドロとの直接対決に挑みました。しかし、相手は手強い。粘り気が強く、ブラシでこすってもなかなか取れません。そして、何よりもその強烈な臭いが、私の戦意を容赦なく削いでいきます。「もう無理かも…」心が折れそうになったその時、ふと、これまでの自分のキッチンでの行いを反省しました。炒め物に使った油を、キッチンペーパーで拭き取らずにそのまま洗っていたこと。少量の食べ残しを「これくらいなら」とシンクに流していたこと。日々の小さな油断が、この恐ろしいドロドロを生み出してしまったのです。結局、私は白旗を上げ、専門の水道業者さんに助けを求めました。業者さんは専用の高圧洗浄機を使い、あっという間に排水管の奥までピカピカにしてくれました。あのドロドロが嘘のように消え去り、水の流れもスムーズに。費用はかかりましたが、あの苦闘とストレスから解放された安堵感は何物にも代えがたいものでした。
恐怖キッチンの排水溝ドロドロとの闘い