キッチンの排水溝ドロドロ放置の危険性

キッチンの排水溝から漂う、なんとも言えない不快な臭い。シンクの水の流れも以前より悪くなった気がする。その原因となっているのが、排水口の奥に潜む「ドロドロ汚れ」であることは想像に難くない。しかし、「掃除が面倒だから」「まだ完全に詰まってはいないから」と、そのドロドロ汚れを見て見ぬふりをしていると、単に不快なだけでなく、様々な深刻なトラブルを引き起こす可能性があることをご存知だろうか。まず、最も身近な問題として挙げられるのが「悪臭の蔓延」である。ドロドロ汚れは、油脂や食材カス、洗剤カスなどが混ざり合い、雑菌が繁殖する絶好の温床となっている。これらの雑菌が有機物を分解する過程で発生する腐敗臭は、キッチン空間を満たすだけでなく、換気扇などを通じてリビングや他の部屋にまで広がることがある。次に、「害虫の発生源」となるリスクだ。ゴキブリやチョウバエ（コバエの一種）といった不快な害虫は、ドロドロ汚れに含まれる栄養分を求めて集まってくる。それだけでなく、湿気と餌が豊富な排水溝周りは、彼らにとって格好の産卵場所ともなり得る。衛生面での問題はもちろん、精神的なストレスも大きい。さらに事態が進行すると、「排水管の完全な詰まり」を引き起こす。ドロドロ汚れが蓄積し、時間の経過とともに硬化していくと、最終的には水の通り道を完全に塞いでしまう。こうなると、シンクの水が全く流れなくなり、キッチンでの洗い物などが一切できなくなる。日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、詰まりを解消するための修理費用も高額になる場合が多い。加えて、見過ごせないのが「排水管の劣化と水漏れ」のリスクである。汚れに含まれる酸やアルカリ成分、あるいは雑菌の代謝物が、排水管の材質（特に金属管）を腐食させることがある。また、詰まりによって排水管内部の水圧が異常に高まることで、配管の接続部分や老朽化した箇所から水漏れが発生する可能性が高まる。特にマンションなどの集合住宅の場合、この水漏れが階下の住戸にまで及ぶと、天井や壁、家財への損害を与え、多額の損害賠償請求につながる大問題に発展しかねない。このように、キッチンの排水溝のドロドロ汚れを放置することは、百害あって一利なしである。それは単なる汚れではなく、様々なトラブルを引き起こす潜在的な危険因子なのだ。