古い賃貸物件の浴室蛇口交換トラブル事例集
賃貸物件、特に築年数の古いアパートやマンションで浴室の蛇口を交換しようとする際には、思わぬトラブルに遭遇することがある。自己判断で進めてしまう前に、起こりうる問題とその対処法を知っておくことが重要だ。まず、賃貸物件の場合、蛇口を含む設備は大家さんや管理会社の所有物であることが一般的だ。勝手に交換してしまうと、退去時に原状回復費用を請求されたり、トラブルに発展したりする可能性がある。蛇口の不具合で交換が必要だと感じたら、まずは大家さんや管理会社に連絡し、相談するのが筋だ。経年劣化による故障であれば、大家さん側の負担で交換してもらえるケースも多い。自分で交換費用を負担する場合でも、必ず許可を得てから行うようにしよう。古い建物特有の問題として、配管の規格が現在と異なる場合がある。特に壁付きタイプの蛇口の場合、壁から出ている二つの配管の間の距離(取り付けピッチ)が、現在の標準規格と合わないことがあるのだ。標準的なピッチは105mmから225mm程度だが、古い物件ではこれより狭かったり広かったりすることがある。無理に取り付けようとすると、配管を損傷させたり、水漏れの原因になったりする。この場合は、取り付けピッチを調整できるタイプのアダプター付き蛇口を選ぶか、専門業者に相談する必要がある。また、長年の使用により、配管自体が劣化している可能性も考慮しなければならない。蛇口を取り外す際に、固着したネジを無理に回そうとして配管を破損させてしまうケースは少なくない。特に鉄製の配管は錆びやすく、脆くなっていることがある。作業中に配管が折れてしまうと、壁の中での水漏れなど、大掛かりな修理が必要になることもある。自信がない場合は、無理せず専門業者に依頼するのが賢明だ。さらに、古い蛇口を取り外した後の壁の状態も問題になることがある。蛇口の周りのタイルが割れていたり、壁の内部が腐食していたりするケースだ。新しい蛇口を取り付ける前に、壁の補修が必要になる場合もある。これも、DIYでは対応が難しいことが多い。このように、古い賃貸物件での蛇口交換には、予期せぬトラブルが潜んでいる可能性がある。安易に自分で交換しようとせず、まずは管理会社や大家さんに相談し、必要であれば経験豊富な専門業者に依頼することを強くおすすめする。トラブルを未然に防ぎ、安全かつ確実に交換を行うことが重要だ。