洗濯機のカラクリ異音発生のメカニズム

私たちが日常的に使っている洗濯機ですが、その内部では様々な部品が連携して複雑な動きをしています。その仕組みを少し理解すると、なぜ異音が発生するのか、そのメカニズムが見えてきます。洗濯機の心臓部とも言えるのが「モーター」です。モーターは電気エネルギーを回転運動に変え、洗濯槽やパルセーター（縦型洗濯機の底にある回転羽根）を動かす動力源となります。このモーターの回転を洗濯槽に伝えるために、「ベルト」や「ギア（歯車）」が使われています。ベルト式の場合、長年の使用でベルトが伸びたり、摩耗したりすると、滑って「キュルキュル」「キーキー」といった音が発生することがあります。また、ギア式の場合は、ギアの歯が欠けたり摩耗したりすると、「ガリガリ」「ゴロゴロ」といった異音の原因となります。モーター自体が劣化したり、内部の軸受け（ベアリング）が摩耗したりすると、「ウィーン」「ゴー」といった唸るような音や、回転に伴う異音が発生します。洗濯槽は、その重量と洗濯物の重さ、そして高速回転による遠心力に耐えるため、「軸受け（ベアリング）」によって支えられています。このベアリングは、スムーズな回転を助ける重要な部品ですが、消耗品でもあります。内部の潤滑油（グリス）が切れたり、摩耗が進んだりすると、金属同士が擦れるような「キーキー」「ゴーゴー」という大きな異音が発生しやすくなります。特に脱水時の高速回転中に異音がする場合は、ベアリングの異常が疑われます。また、洗濯槽は「サスペンション」や「吊り棒」といった部品で支えられ、振動を吸収する仕組みになっています。これらの部品が劣化したり、破損したりすると、洗濯槽の揺れを抑えきれなくなり、「ガタガタ」「ゴトゴト」という大きな振動音が発生します。設置の不平衡や洗濯物の偏りがないにも関わらず大きな振動音がする場合は、これらの部品の異常も考えられます。その他にも、洗濯槽と外槽（洗濯槽を覆う水槽）の間に異物（ヘアピン、小銭、ボタンなど）が入り込み、回転時に接触して「カラカラ」「カラン」という音を立てることもあります。排水時には、「排水ポンプ」が作動して水を機外へ排出しますが、このポンプ内部に異物が詰まったり、ポンプ自体が劣化したりすると、「ブーン」「カラカラ」といった異音が発生することがあります。