隠れた水道管の水漏れに、長期間気づかず、ある日、水道局からの検針票を見て、目を疑う。そこには、普段の数倍、時には十倍以上にもなる、信じられないほどの水道料金が、記載されている。この、いわゆる「漏水による、水道料金の高額請求」は、誰の身にも起こりうる、恐ろしいトラブルです。しかし、そんな絶望的な状況に陥ったとしても、諦める必要はありません。多くの自治体の水道局では、このような、利用者の責任とは言えない、地中や壁の中での漏水に対して、高額になった水道料金の一部を、減額または免除してくれる「減免制度」を設けているのです。この制度は、法律で定められたものではなく、各水道局が、独自の裁量で設けている、一種の救済措置です。そのため、減免の条件や、減額される金額の計算方法は、自治体によって異なりますが、その基本的な考え方は共通しています。それは、「利用者が、適切な管理を行っていたにもかかわらず、発見することが困難な場所で、漏水が発生した場合」に、適用される、というものです。例えば、地中に埋設された給水管や、壁の中、床下を通る水道管からの、自然な漏水が、これに該当します。この制度を利用するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。まず、第一に、漏水の原因を特定し、それを修理することです。減免の申請には、その漏水修繕工事を行った、水道局の「指定給水装置工事事業者(指定水道工事店)」による、「修繕証明書」や「工事報告書」の提出が、必須となります。つまり、自分で修理した場合や、指定店以外の業者に依頼した場合は、制度が適用されない可能性が高いため、注意が必要です。次に、この修繕証明書と、水道料金の減免申請書を、管轄の水道局に提出します。申請が受理されると、水道局は、過去の正常な使用水量などを基に、漏水がなかった場合の推定使用水量を算出し、それを超える部分の料金について、一定の割合で、減額または免除を行ってくれます。ただし、蛇口からの水漏れや、トイレの故障など、目で見て確認できる場所からの漏水を、長期間放置していた場合は、「管理を怠った」と見なされ、減免の対象外となることがほとんどです。水道メーターの定期的なチェックと、異常があった際の、迅速な対応。それが、この救済制度の恩恵を受けるための、最低限の条件となるのです。