水道管の水漏れの中でも、特に厄介で、発見が困難なのが、壁の内部や、床の下、あるいは地中に埋設された配管で発生する「隠れた水漏れ(漏水)」です。目に見える形で水が噴き出しているわけではないため、気づかないうちに、長期間にわたって、大切な家と、水道料金を、静かに蝕んでいきます。しかし、この見えない敵の存在を、専門業者を呼ぶ前に、自分自身でチェックするための、いくつかの簡単な方法が存在します。ここでは、誰でもできる、漏水のチェック方法を紹介します。まず、最も基本的で、そして最も確実なのが、「水道メーターのパイロットを確認する」方法です。水道メーターのボックスを開けると、数字が並んだメーターの盤面に、銀色や赤色の、星形や円盤状の部品があるはずです。これが「パイロット」です。パイロットは、ごく僅かな水の流れにも敏感に反応し、回転するように設計されています。チェックの手順は、非常にシンプルです。まず、家の中の全ての蛇口(キッチン、風呂場、洗面所、トイレ、屋外の散水栓など)が、完全に閉まっていることを確認します。洗濯機や食器洗い機が、作動していないことも確認してください。つまり、家の中で、一切水を使用していない状態を作り出すのです。その状態で、再度、水道メーターのパイロットを、じっと、最低でも一分から二分間、観察します。もし、このパイロットが、少しでも、くるくると回転しているのであれば、それは、家のどこかで、水が漏れ続けている、動かぬ証拠となります。次に、より具体的な場所を推測するためのヒントが、「壁や天井、床のシミや、カビの発生」です。特に、水回り(キッチン、風呂、トイレなど)の周辺の壁紙が、不自然に浮いてきたり、変色したり、あるいはカビ臭くなったりしていないかを確認しましょう。また、特定の場所の床だけが、歩くとブカブカと沈むような感じがする場合も、床下での水漏れが原因で、床材が腐食している可能性があります。これらのセルフチェックで、一つでも異常が見つかった場合は、もはや放置できるレベルの問題ではありません。被害がさらに深刻化する前に、速やかに、水道局の指定業者などの、信頼できる専門家に、詳細な調査と修理を依頼することが、何よりも重要です。