トイレの排水管に使用される材質は、時代や建物の種類によって様々ですが、それぞれに特徴があり、耐久性や施工性、コストなどに違いがあります。適切な材質を選ぶことは、長期的な視点で見ると非常に重要です。かつて一般的に使用されていたのは「鋳鉄管」です。鋳鉄管は強度が高く、耐火性にも優れているというメリットがありますが、重量があり施工が難しい、そして何よりも内部が錆びやすいという大きなデメリットがありました。錆が進行すると管の内壁が荒れて詰まりやすくなったり、管自体が劣化して漏水の原因になったりすることがあります。その後、主流となったのが「硬質塩化ビニル管(塩ビ管)」です。塩ビ管は軽量で加工しやすく、錆びないため耐久性も高いという特徴があります。コストも比較的安価であるため、現在でも多くの建物で採用されています。塩ビ管には、主に排水用途で使われる薄肉の「VU管」と、給水や圧力のかかる排水箇所で使われる厚肉の「VP管」があります。トイレの排水管としては、主にVU管が使用されることが多いですが、建物の状況や設計によってはVP管が用いられることもあります。塩ビ管のデメリットとしては、熱に弱いことや、衝撃に比較的弱いことが挙げられます。近年では、さらに高性能な管材も登場しています。例えば、「耐火二層管」は、内層が硬質塩化ビニル、外層が繊維補強セメントで作られており、塩ビ管の施工性を持ちながら耐火性能を高めたものです。マンションなどの集合住宅で、防火区画を貫通する排水管として使用されることがあります。また、「ポリエチレン管」や「ポリプロピレン管」といった樹脂系の管材も、柔軟性があり耐薬品性に優れているといった特徴から、特殊な条件下で使用されることがあります。排水管の材質を選ぶ際には、建物の構造や用途、予算、そして長期的なメンテナンス性などを総合的に考慮する必要があります。リフォームなどで排水管を交換する際には、専門業者とよく相談し、それぞれの材質のメリット・デメリットを理解した上で、最適なものを選ぶようにしましょう。
トイレ排水管材質の種類と選び方