給湯器に不具合が生じた時、多くの人が直面するのが、「これを修理して使い続けるべきか、それとも、思い切って新しいものに交換すべきか」という、非常に悩ましい選択です。修理費用を抑えたい気持ちと、またすぐに壊れるのではないかという不安。その判断は、いくつかの客観的な基準に基づいて、冷静に行う必要があります。その判断基準となる、最も重要な要素が、その給湯器の「使用年数」です。一般的に、給湯器の寿命は約十年とされています。もし、あなたの家の給-湯器が、設置から十年以上経過している場合、たとえ今回の故障を修理したとしても、安心はできません。経年劣化は、一つの部品だけでなく、内部の様々な部品で、同時に進行しています。今日、一つの部品を交換しても、来月には、また別の部品が寿命を迎え、故障するという「いたちごっこ」に陥る可能性が非常に高いのです。修理を繰り返すことで、結果的に、新品に交換するよりも、トータルコストが高くついてしまった、というケースも少なくありません。使用年数が十年を超えている場合は、基本的には「交換」を、第一の選択肢として考えるのが賢明です。一方で、使用年数が比較的浅い、例えば五年未満である場合は、「修理」で対応するのが、合理的な判断と言えるでしょう。この年数であれば、まだ他の部品の劣化も進んでおらず、故障した箇所だけを修理すれば、その後も、しばらくは安定して使用できる可能性が高いです。また、メーカーの保証期間内(通常は一年から三年程度)であれば、無償で修理を受けられる場合もあります。そして、使用年数が、五年から十年の、いわば「グレーゾーン」にある場合は、判断が最も難しくなります。この場合は、「修理にかかる費用」が、重要な判断材料となります。もし、修理費用が、五万円を超えるような高額になる場合は、そこに数万円を足せば、新品の給湯器が購入できるため、長期的な視点で見れば、交換した方が、コストパフォーマンスが高い、と考えることもできます。故障の箇所、使用年数、そして修理費用。この三つの要素を、専門の業者とよく相談しながら、総合的に天秤にかけること。それが、後悔のない、最適な選択へと繋がるのです。
給湯器の故障!修理と交換の判断基準